国公立大・医学部学生が実践!~連想地図による英単語記憶法

医学生が実践! (森本一生)  連想地図による英単語記憶法

私は今、医師を目指す一人として、日々病院実習を行い、医学の勉強に励んでいます。大学受験の頃と内容こそ違いますが、莫大な内容を勉強しないといけないという感覚は今でも変わりません。それではここで、現在の医学生の立場から今までの体験も含めて記憶の仕方について述べたいと思います。

 私は、仕事でも勉強でも、ある対象を記憶する際には、その対象に関連した事を次々と連想していき、それを紙などに書いて全体として地図のようなものを作っていくと効率的だと考えています。

 例として、上の画像は大学入試の英文を抜粋したものです。それに各文章を理解するためのポイントとなる単語をピックアップし、その単語の派生語や反意語、同義語や語形変化、さらにプラスαで単語を分解して意味をとらえる(例えば「propose」のproは「前に」という意味が元々ある)、といった事を私なりに書いてみました。まるで小さな地図を描いている気分です。

 このように、1つの単語から連想される事柄が多かったり印象が強いほど、一連の連想内容の結びつきは強くなり、忘れにくくなるのです。脳の神経細胞同士の結びつきも同じような構造をしています。

 私の周りでも、成績がいい人や記憶力がいいとの評判がある人は、この方法を他人や本などから知る以前から行っている人が多数いました。

 私の実体験としても、何となく書いた単語の関連地図が、全体的なイメージとしてしばらくたっても思い出すことができたのをよく覚えています。

 ただし、この連想地図によって記憶する際に一つ注意点があります。

 それは人によって物事の理解の仕方には個人差があるため、自分自身の手でこの単語地図をつくらなければ最高の効果は得られなであろうということです。

 もちろん、最初は書き方を覚えるために他人が作ったものをまねるのはかまいません。

 けれど、単語の位置やつなげ方は自分の手で自分がわかりやすいように書いてください。

 書く環境、文字の大きさや形、そういったものも記憶の関連づけの一部になるからです。加えて、その自分で作った地図を反復して見てイメージ化し、時に改めて作り直してみることも効果があることは言うまでもありません。

 この本で応用して考えるならば、experimentという単語に対し、自由欄に「この単語は、何月何日○○先生が『科学系英語長文で頻出』と言っていた単語!」だとか、concernという単語ならば「私のconcern①最近太ぎみ②おでこが広くなってきた③金欠」といったように、反意語や同意語だけでなく、いろんな角度から関連付けをすると、脳裏に残りやすいと思います。

 そしてさっき覚えた単語を、この本のバーコードからケータイサイトへ行き、Q&A方式でちゃんと覚えているか確認したり、1つの単語からどれだけ関連した単語が出てくるかを試すのもいいと思います。

 是非自分だけの手作りの単語帳を作って、自分の記憶法を確立してください。

 最後に、こういった連想地図的な考え方は、勉強に限らず仕事や生活など総じて人生設計においても重要だと思います。

 例えば何か物事を計画する際や、今の自分の状態をいろんな角度が見つめなおすことなどです。

 私は今医学生として日々、病院実習やそのための勉強に励んでいます。

 私はその病院実習で次のことに驚きました。

 それは、身体検査の結果に異常がないのに、身体の痛みを訴える患者さんが実に多いことです。

 こういった患者さんは、生活背景や家庭環境、人間関係といったことで悩んでいる場合が多く、そういった目に見えない部分に気づき、改善していかないと痛みはなくならないのです。

 世の中には実に様々な個人が共存しています。

 理屈が通らないことなど多々あります。

 この厳しい世の中を生き抜くためには、様々な角度から状況を把握するといった広い視野が必要です。

 そのためにも、この連想地図的な考え方は非常に重要だと思います。少しでも参考になった方は是非、実践されてみてはいかがでしょうか。

 

(某国公立医学部医学科卒。脳の働きと心の関係に興味がある。)